希望は生きていく力

先月、宮城県石巻市、南三陸町に薬剤師としてボランティアに行って来ました。現地に赴いて驚いたのは、震災後7ヶ月以上経っているのにも関わらず、復興の「ふ」の字がどこにも一切感じられなかったことです。そこに確かに人が住んでいたという形跡は、埃だらけの道路と建物の基礎のブロックらしきものが所々に見えるだけ・・・草一つない荒れ果てた土地が、ずっと地平線の海まで広がっていて・・・私の人生では目にしたことのないその悲惨な景色は、悲しく虚しい匂いに包まれていました。海岸線、どこまでもどこまでも車を走らせても、延々と続く荒野。動くものといえば、うず高く積み上がった瓦礫を分別している重機と、瓦礫を運ぶ僅かなトラックのみでした。このような荒廃仕切った景色を半年以上毎日見させられる被災者の方々の心情を思うと、本当に心が痛くなりました。

私は、宮城県薬剤師会の生出会長のご厚意で、南三陸町のある志津川薬局に向かうことができました。この薬局は、仮設南三陸町診療所の横にある薬局で、日薬と宮城県薬の支援により、地元で薬局を流されてしまった先生方が中心になって開設された仮設の薬局でした。現地に行って、被災者の患者さんとお話しでも・・・と思っていましたが、街の医療機関が一か所に集約されてしまったので、薬局は待つ人が溢れ出るほどの大混雑。お話しを伺う余裕は一切なく、積みあがった処方箋を何とかしなくてはと、限られた時間でしたが調剤のお手伝いをさせて頂きました。その後、仮設住宅に伺ってお話をさせて頂きましたが、明るく元気の言葉の中に、将来の希望を探せない不安が色濃く滲み出ていました。目に見える再建がなければ、心の再建もなされないのです。その為には政治の力が絶対に必要だと強く感じました。

今、国会では第三次補正予算の審議が行われています。一刻も目に見える復興を、復興の兆しが被災者の方々の希望へとつながるのです。希望は、人を成功に導く力です。希望がなければ何事も成就するものではありません。いま、政治の力量が試されています。